11月3日

 

わかってたことだよ いつかくることを 覚悟はしてたよ そろそろだろうと

届いた知らせはたった三行で 夜のコンビ二で泣くこともなかった

最後の写真は 眠ってるみたいで 画面に向かってぽつりと呟く

優しい君だから 最後の時まで 誰も困らせず 終えたんだろう


外の冷たい空気が あの日のことを思い出させた

ストーブを取り合ったっけ 二人ぴったりくっついてぬくもりを分け合ったっけ


あたしより後に生まれたのに あたしより先に母になって

あたしより先に年を取って あたしを置いていなくなった

こんな悲しい出来事に 涙が頬を伝うけれど

こぼれた涙を舐めてくれた 君は もういない

初めましては 春先のことで 靴下をはいた よちよち歩きの君

散歩をさぼった 次の日の朝は これ見よがしに 廊下に粗相

酔っぱらった父の 相手はいつも 君の役回り おて、ふせ、おすわり

めんどくさそうに座ってる君と 上機嫌な父の後ろ姿

一緒に過ごした日々が 当たり前すぎて 君のいない家に帰るのが怖いよ


あたしより後に生まれたのに あたしより先に母になって

あたしより先に年を取って あたしを置いていなくなった

誰にも言えない悩み事を 君にだけこっそり話してた

そっぽ向いてしっぽだけで 相槌を打つ君に救われてた

だけどこれからどうすればいい 誰にも言えない悩みも

酔っぱらった父の相手も 誰が・・・


あたしより空が遠い君が あたしを飛び越えていった先

屋根の隙間から見えていた 狭い空は広かったかい?

幸せだったかと聞くよりも 幸せだったと伝えたくて

誰にも聞こえないくらいの 小さな声で呟いた

君はしっぽを振ってくれるかい?